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改正区分所有法の決議要件緩和と管理者管理方式への影響


改正区分所有法の決議要件の見直しは、管理者管理方式への移行を考える組合にとって追い風になり得ます。総会の決議の母数の取り方が変わり、欠席が事実上の反対票になっていた問題が緩和されるためです。ただし決議が通りやすくなることは、監督が甘くなるリスクと表裏一体です。決議の見直しが管理者の選任や規約変更、移行決議にどう関わるかを、利点と注意点の両面から整理します。

決議要件の見直しで何が変わるか

2025年に区分所有法が約20年ぶりに改正され、区分所有法の部分は2026年4月1日に施行されます。改正は複数の法律をまとめたもので、施行日は内容ごとに分かれています。決議要件の見直しもこの改正に含まれます。

最大の変更点は、総会の決議を「出席した区分所有者の議決権」を基準とする方式へ見直したことです。従来は組合員全体を母数として賛成を数える場面があり、総会を欠席した人がそのまま反対と同じ重みを持ってしまう状況がありました。これが「欠席が事実上の反対票になる」問題です。

新しい方式では、出席した人の議決権をもとに賛否を判断します。所在が分からない区分所有者を決議の母数から除く仕組みも設けられました。これにより、参加者の意思がより素直に決議へ反映されます。

管理者の選任への影響

管理者の選任と解任は、集会すなわち総会の決議によると区分所有法で定められています。管理者の選任は通常、普通決議で進めます。

決議の母数が出席者基準に見直されたことで、出席率の低い組合でも普通決議が成立しやすくなると考えられます。高齢化やなり手不足で総会への参加が伸び悩む組合にとって、管理者を選びやすくなる方向の変化です。

  • 欠席者が多くても、出席者の合意で管理者を選任しやすくなる
  • 所在不明の区分所有者がいても、決議が前に進みやすくなる
  • 役員のなり手が不足する組合でも、外部の管理者を立てる選択がしやすくなる

一方で、決議が通りやすいことは、十分な議論を経ないまま管理者が決まるおそれにもつながります。誰を管理者とするか、どこまでの権限を委ねるかは、出席者が少ない総会でも丁寧に説明し、判断材料を示すことが大切です。

規約変更と移行決議の進め方

管理者管理方式への移行では、ふつう規約の変更と管理者の選任を組み合わせて行います。移行そのものに固有の決議割合が法律で別に定められているわけではありません。必要な手続きを一つずつ確認することが、進め方の基本になります。

規約の変更は特別決議によります。特別決議は4分の3以上の賛成を必要とします。管理者を置く体制や監督の仕組みを規約に書き込む場合、この特別決議が関わってきます。

場面主な決議の種類
管理者の選任・解任普通決議
規約の変更特別決議(4分の3以上)

移行を検討する際は、規約変更と管理者選任のどちらも見据えて段取りを組みます。出席者基準への見直しで決議は成立しやすくなりますが、規約に何を書き、誰を管理者とするかという中身の議論まで省いてよいわけではありません。

チェックが甘くならないための備え

決議が通りやすくなるほど、管理者への監督が後回しになる懸念は強まります。とくに管理会社が管理者を兼ねる方式では、工事の発注や修繕積立金の扱いで利益相反が起こり得ます。この論点は移行を考えるうえで欠かせない確認事項です。

決議が成立しやすくなることと、管理者を信頼してよいことは別の話です。選任の決議とあわせて、監督の仕組みを規約や契約に書き込んでおくことが安全です。

国土交通省のガイドラインでは、監督と利益相反対策の定石が示されています。移行決議の準備段階から、こうした備えを規約や委託契約に織り込んでおくと、後からの修正を減らせます。

  • 監事による監督や、外部の監査を活用する
  • 通帳と銀行印を分けて保管する
  • 一定額以上の契約は総会や監事の承認を要する形にする
  • 管理者の解任をしやすいよう、規約に固有名詞を書かない

決議が成立しやすい環境だからこそ、選任の決議と監督の仕組みを同時に整えておく姿勢が求められます。

まとめ

改正区分所有法の決議要件の見直しは、出席した区分所有者の議決権を基準とする方式へ変わる点が核心です。欠席が反対票になっていた問題が緩和され、出席率の低い組合でも管理者の選任や管理者管理方式への移行が進めやすくなります。規約の変更は特別決議で4分の3以上の賛成を要し、移行はふつう規約変更と管理者選任の組合せで進めます。決議が通りやすくなる分、監督が甘くならないよう、選任とあわせて監事や外部監査、通帳と印鑑の分別保管といった備えを整えておくことが、組合を守る判断材料になります。


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