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設計監理方式のメリットと落とし穴|コンサルが受注調整に関わるリスク


設計監理方式は、適正に運用すれば大規模修繕で力を発揮します。設計と施工を分け、第三者の目を入れられるからです。ただし、中立性が崩れると逆に組合の不利益につながります。先に結論を示すと、鍵は「コンサルと施工会社の利害が切れているか」を組合が確認できるかどうかです。

設計監理方式は、設計コンサルが調査・仕様作成・施工会社の選定補助・工事監理を担い、施工は別の会社が行う進め方です。仕様を作る人と施工する人が分かれる構造に、本来の強みがあります。

設計監理方式のメリット

設計監理方式の長所は、チェック機能が働きやすい点にあります。

  • 専門のコンサルが建物を調査し、必要な工事の根拠を整理します。
  • 仕様書をもとに複数の施工会社へ同じ条件で見積りを依頼できます。
  • 工事中の監理を施工会社とは別の立場が担い、手抜きや仕様逸脱を確認しやすくなります。
  • 工事内容と費用の関係が住民に説明しやすくなります。

設計と施工が分かれていれば、施工会社の言い値をそのまま受け入れずに済みます。この点が、責任施工方式にはない強みです。

なぜ落とし穴が生まれるのか

長所の前提は、コンサルが中立であることです。コンサルが施工会社の選定にも関わるため、その立場を悪用されると構図が崩れます。

設計監理方式では、コンサルが施工会社の選定を補助します。本来は組合の代わりに公正な比較を助ける役割です。しかし、コンサルが特定の施工会社と利益でつながると、選定が組合のためでなく、つながった相手のために働く恐れがあります。

仕様を作る側が選定にも影響できる構造そのものが、悪用の余地を生みます。だからこそ、利害関係の有無を組合が確認する必要があります。

コンサルが受注調整に関わるリスク

実際に、設計監理方式の悪用が問題になった例があります。

2026年6月の報道では、関東地方のマンション大規模修繕工事をめぐり、施工会社と設計コンサルあわせて計約40社の独占禁止法違反、すなわち入札談合が認定される方針を固めたと伝えられました。課徴金は計約16億円を命じる方針とされています。報道では38社が排除措置命令の対象とされましたが、社数には幅があるとされ、命令は方針段階で、近く出る見込みと報じられました。

この件の構造的な特徴として、次の点が報じられました。

  • 管理組合が委託した工事の見積もり合わせや入札で、受注業者や工事価格を事前に調整していたとされる。
  • 設計コンサルが受注調整に関与していたとされる。
  • 受注業者から受注額の数パーセント程度、報道では5%前後をバックマージンとして得ていたとされる。
  • 課徴金減免制度、いわゆるリーニエンシーを自主申告で適用した社もあるとされる。

重要なのは、設計監理方式が危険だという結論ではない点です。問題は中立性が崩れたことであり、方式そのものではありません。

中立性を守るための確認事項

落とし穴を避けるには、コンサルと施工会社の関係を組合が見ておくことが役立ちます。

  • コンサルと候補の施工会社の間に、資本関係や継続的な取引がないか確認する。
  • 施工会社の選定基準と評価の経緯を、書面で残してもらう。
  • 見積りは同じ条件で複数社から取り、コンサル任せにしない。
  • 見積りの数量内訳や単価の根拠を示してもらい、過剰な工事項目がないか確認する。
  • 必要に応じて、別のコンサルや専門家にセカンドオピニオンを求める。

国土交通省も、設計コンサルが施工会社からマージンを受け取り高額な工事へ誘導しうる事例を挙げ、発注の透明化や相見積りでの検討を促していると伝えられています。

まとめ

設計監理方式は、設計と施工を分けることでチェックが働きやすい有効な進め方です。工事内容の根拠が明確になり、監理の目も入れられます。一方で、コンサルが施工会社の選定にも関わる構造ゆえに、中立性が崩れると組合に不利益が生じます。2026年6月に報じられた談合の件も、方式の悪用が問題でした。設計監理方式を選ぶ場合は、コンサルと施工会社の利害関係を確認し、相見積りや透明化を組み合わせることが現実的な対応策です。方式を一律に避けるのではなく、中立性を守る手立てを取ることが要点です。


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