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管理者管理方式への移行に必要な規約変更と総会決議の進め方


管理者管理方式へ移るには、まず管理規約を見直し、その変更を総会の特別決議で通す必要があります。どの条項に手を入れ、どう議案を準備し、当日までに何を整えるか。この順で押さえると、理事の作業に無駄が出にくくなります。

管理者管理方式とは、理事会を中心とした運営に代えて、特定の管理者に組合の業務を担わせる方式です。運営の仕組みそのものが変わるため、始める前に規約の土台を作り直す必要があります。規約に根拠がないまま管理者を置くと、後から権限の範囲や解任の手続きで争いになりやすくなります。

まず手を入れる規約の条項

現行の多くの規約は、理事会と理事長を中心とした運営を前提に作られています。管理者管理方式へ移るには、その前提部分を見直します。手を入れる条項は、おおむね次の範囲です。

  • 管理者の定め(誰が、どういう立場で管理者になるか)
  • 管理者の選任と解任の手続き
  • 管理者の業務範囲と権限の範囲
  • 管理者に対する監督の仕組み
  • 監事の権限と役割

管理者の定めでは、規約に特定の会社名や個人名を直接書かないようにします。固有名詞を書くと、交代のたびに規約変更が要り、解任もしにくくなります。「総会で選任する管理者」といった一般的な書き方にとどめ、誰を選ぶかは総会の決議で決める形にします。

区分所有法第25条では、管理者の選任と解任は集会、つまり総会の決議によると定められています。問題が起きたときに動きやすいよう、解任の議案を出しやすい招集の条件をあわせて整えておきます。

業務範囲と権限の線引き

管理者にどこまで任せるかは、規約と委託契約の両方で線を引きます。規約には大枠を書き、細目は契約で定める形が扱いやすくなります。とくに、一定額を超える契約や大規模な工事の発注は、総会や監督の承認を必要とする旨を残しておきます。これにより、管理者が単独で重い判断を進めることを防げます。

監督と監事の権限

管理者管理方式の弱点は、日常の運営を見る目が減りやすい点です。管理会社が管理者を兼ねる方式では、工事の発注先と管理者が同じになり、利益相反が起きやすくなります。そのため、監督の条項を必ず添えます。

  • 監事に管理者の業務と会計を点検する権限を与える
  • 通帳と銀行印の保管を分け、管理者が両方を握らないようにする
  • 外部の監査を使えるようにする
  • 管理者には議決権を与えない

監事の権限を強める条項は、移行と同時に入れておくと安心です。国土交通省のガイドラインでも、監事による監督や通帳と印鑑の分別保管、解任の手続きの整備が、利益相反への対策として挙げられています。

規約変更に必要な総会決議

規約の変更は、組合運営の基本ルールを変える行為です。そのため、通常の議案より重い特別決議が必要とされ、4分の3以上の賛成が要件とされています。賛成をどう集めるかを、早い段階から考えておきます。

ここで知っておきたいのが、総会の決議の数え方が見直された点です。2025年に区分所有法が約20年ぶりに改正され、総会の決議を、出席した区分所有者の議決権を基準とする方式へ見直す内容が盛り込まれました。欠席が事実上の反対票として働いてしまう問題をやわらげるための変更です。所在不明の区分所有者を決議の母数から除く仕組みも設けられました。

議案の種類必要な決議主な対象
規約の変更特別決議管理者の定め、選任解任、監督条項
管理者の選任普通決議誰を管理者にするか
一般的な運営事項普通決議予算や修繕の方針など

この改正は複数の法律をまとめた形で進められ、施行の時期は内容ごとに分かれています。すべてが同じ日に始まるわけではないため、自分の組合に関わる部分がいつから動くかは、最新の情報で確認します。

議案の準備と通知・委任状

決議の成否は、当日より前の準備で大きく決まります。次の順で整えると、抜けが出にくくなります。

  1. 変更後の規約案を条文の形でまとめる
  2. 変更の理由と、移行で何が変わるかを説明する資料を作る
  3. 総会の招集通知に議案と規約案を添えて、規約で定めた期間より前に配る
  4. 出席できない区分所有者向けに、委任状と議決権行使書を用意する
  5. 説明会や質疑の機会を設け、反対意見にも答える

招集通知では、規約の変更が議案であることと、その内容を具体的に示します。変更案を後出しにすると、決議の効力をめぐって争いになりかねません。条文の新旧がわかる形で添えると、区分所有者が判断しやすくなります。

委任状と議決権行使書は、欠席者の意思を決議に反映させるための書類です。特別決議は高い賛成の割合が要るため、出席できない人の票を確実に集める工夫が要ります。誰に委任するか、賛否をどう示すかを、書式の中でわかりやすく案内します。

委任状は、誰に何を委任するのかをはっきりさせておきます。白紙委任に頼りすぎると、後から「説明が足りなかった」という不満につながりやすくなります。

まとめ

管理者管理方式への移行は、規約の見直しと総会の特別決議という二つの段階で進みます。規約では、管理者の定め、選任と解任、業務範囲、監督、監事の権限を整え、固有名詞を避けて解任しやすい形にします。決議は4分の3以上の賛成が要る特別決議となるため、議案と規約案を早めにまとめ、通知と委任状で欠席者の票も取りこぼさないようにします。標準管理規約は2025年10月に改正され、改正された区分所有法に対応する内容へ整えられたため、規約案づくりの下敷きとして使えます。最新の動きも踏まえ、順を追って準備を進めることが、後の争いを防ぐ近道になります。


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