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理事会管理から管理者管理方式へ移行する手順|検討から総会決議まで


理事会管理から管理者管理方式への移行は、思いつきで決めず、決まった順番で進めると失敗が減ります。流れは大きく7つの段階に分かれます。課題の整理、方式の比較、監督の設計、規約案づくり、住民への説明、総会での決議、そして契約と引き継ぎです。とくに契約の段階では、管理会社が管理者になる場合の説明の取り決めを忘れずに組み込みます。

ここでは、検討の入り口から総会決議、その後の契約までを手順として番号順に整理します。自分の組合がいまどの段階にいるかを確認しながら読み進めてください。

移行手順の全体像

最初に全体の流れをつかんでおくと、各段階の意味が分かりやすくなります。移行は次の順番で進めます。

  1. 現状の課題を整理する(なぜ移行を検討するのか)
  2. 管理者管理方式の型を比較し、自分の組合に合う型を選ぶ
  3. 監督・チェックの仕組みを先に設計する
  4. 規約の改正案と契約の骨子をつくる
  5. 住民に説明し、意見を集める
  6. 総会で規約変更と管理者選任を決議する
  7. 管理者と契約を結び、業務を引き継ぐ

この順番のポイントは、監督の設計を契約より前に置くことです。誰がどうチェックするかを決めてから、方式と契約を固めると、後戻りが少なくなります。

1. 課題を整理する

最初の段階は、移行の目的をはっきりさせることです。なり手不足や役員の高齢化、専門的な判断の難しさなど、いま困っていることを書き出します。

整理しておくと良い確認事項は次のとおりです。

  • 理事のなり手が継続的に確保できているか
  • 大規模修繕や会計など、専門的な判断で困っていないか
  • 現在の管理会社や理事会の業務範囲はどこまでか
  • 移行で何を解決したいのか(負担軽減か、迅速化か、専門性か)

国土交通省の調査では、外部の専門家を活用するマンションが増えており、令和5年度の調査では全体の約41.4%にのぼります。背景には役員のなり手不足や高齢化があります。自分の組合の事情がこうした流れと重なるかを確認しておきます。

2. 方式を比較して型を選ぶ

管理者管理方式には主に2つの型があります。管理会社が管理者になる型と、マンション管理士や弁護士などの専門家が管理者になる型です。どちらを選ぶかで、費用や中立性、監督の重さが変わります。

比較の観点管理会社が管理者になる型専門家が管理者になる型
主な担い手管理会社管理士・弁護士など
利益相反の起きやすさ起きやすい比較的起きにくい
重視すべき備え工事発注などの監督担い手の確保と費用

管理会社が管理者になる型では、工事の発注先と管理者が同じ会社になることがあります。この場合、組合の利益と管理会社の利益がぶつかる利益相反に注意が必要です。型を選ぶ段階で、利益相反と監督の論点を必ず一緒に検討します。

3. 監督の仕組みを先に設計する

方式を選んだら、契約より先に監督の仕組みを決めます。管理者に任せきりにせず、組合がチェックできる形を残すためです。

ガイドラインで定石とされる監督の備えには、次のようなものがあります。

  • 通帳と銀行印を分けて保管する(できれば外部で別々に)
  • 監事や外部監査による定期的なチェックを入れる
  • 自分の業務を自分で監査させない
  • 管理者に総会の議決権を与えない
  • 一定額以上の契約は総会や監督の承認を必要とする
  • 規約に管理者の固有名詞を書かず、解任しやすくしておく

これらをどこまで採り入れるかを、この段階で決めておきます。決めた内容は、次の規約案と契約案にそのまま反映します。

4. 規約案と契約の骨子をつくる

監督の設計が固まったら、規約の改正案をつくります。国土交通省のマンション標準管理規約や、外部管理者方式に関するガイドラインを土台にすると整理しやすくなります。

規約案で盛り込む主な項目は次のとおりです。

  • 管理者の選任と解任の手続き
  • 管理者の業務範囲と権限の範囲
  • 監事や監督の役割
  • 一定額以上の契約に対する承認の仕組み

あわせて、管理者と結ぶ委託契約の骨子も用意します。任期、解任の条件、報酬、業務範囲を確認できるようにしておきます。報酬は別途かかる費用なので、組合の負担がどう変わるかも合わせて整理します。

5. 住民に説明し意見を集める

規約案と契約の骨子ができたら、住民への説明に進みます。移行は区分所有者全員に関わるため、決議の前に丁寧な説明が大切です。

説明会では次の点を分かりやすく伝えます。

  • なぜ移行を検討しているのか
  • どの型を選び、どんな監督を入れるのか
  • 費用や業務範囲がどう変わるのか
  • 反対意見や不安にどう答えるのか

この段階で出た意見は、規約案や契約案の修正に反映します。説明と意見の往復を経ることで、総会での合意が得やすくなります。

6. 総会で決議する

説明と調整が済んだら、総会での決議に進みます。管理者の選任や解任は、区分所有法により集会、つまり総会の決議で決めることになっています。

決議で扱う主な議案は次の2つです。

  • 規約の変更(特別決議。賛成は4分の3以上が必要)
  • 管理者の選任

総会の決議のしかたについては、2025年に約20年ぶりに改正された区分所有法が関わります。改正では、出席した区分所有者の議決権を基準とする方式への見直しや、所在が分からない区分所有者を母数から除く仕組みが盛り込まれました。区分所有法部分は2026年4月に施行されます。なお、この改正は複数の法律をまとめたもので施行日が部分ごとに異なるため、すべてが同時に始まるとは限りません。最新の取り扱いは決議の前に確認しておきます。

7. 契約を結び業務を引き継ぐ

総会で可決されたら、管理者と委託契約を結び、業務を引き継ぎます。この最後の段階で、説明と報告の取り決めを契約に組み込むことが大切です。

管理会社が管理者になる場合は、説明と報告の取り決めを契約に明記します。2024年に改訂され2026年にも見直された外部管理者方式のガイドラインや、2025年の改正区分所有法では、管理会社が管理者として工事を発注するような利益相反取引について、事前の説明が求められます。

契約段階で取り決めておく主な事項は次のとおりです。

  • 重要事項の説明を、移行の前と契約の前に行うこと
  • 利益相反になりうる取引(工事発注など)の事前説明
  • 説明した内容を書面で交付すること
  • 業務や会計の状況を定期的に報告すること
  • 通帳・印鑑の保管方法と、解任の手続き

これらを口約束で終わらせず、契約書と規約に落とし込みます。引き継ぎでは、書類や通帳の管理、会計のやり方を確認し、誰がいつ報告するかを決めておきます。

まとめ

理事会管理から管理者管理方式への移行は、課題の整理から始まり、方式の比較、監督の設計、規約案づくり、住民説明、総会決議、契約と引き継ぎという順番で進めます。監督の仕組みを契約より先に決めること、そして契約の段階で説明・書面交付・定期報告の取り決めを組み込むことが、後のトラブルを減らす鍵になります。とくに管理会社が管理者になる場合は、利益相反取引の事前説明が求められる流れを踏まえ、契約に必要な取り決めを忘れず盛り込んでください。


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