マンション管理士事務所/専門分野に特化した方が得策か?

管理士事務所専門特化

事務所のサービスを専門分野に特化するメリット

マンション管理士事務所を開業するときには、何らかの専門分野を選び、その分野だけに特化して、マンション管理士事務所を開業するという方法があります。

この方法のメリットは、何といっても業務が受託しやすいということでしょう。特に、東京などのマンションの密集地域で、顧客(マンション管理組合)は十分に多いが、その分、ライバルである同業のマンション管理士事務所が多い場合には、この方法が有効でしょう。

一般に、何らかのニーズがあり、(マンション管理士に限らず)何らかのコンサルタントを探す方は、そのニーズに特化したコンサルタントを選択しやすいものです。例えば、管理費が高いことに不満を持つ理事長が、管理費削減を業務にしているマンション管理士を、インターネットなどで探していると考えてみましょう。

このマンション管理組合の理事長が「管理規約改正、管理費滞納、騒音問題、駐車場の空き対策、長計の作成、大規模修繕のコンサル」等々を幅広く扱っているマンション管理士事務所Aのホームページと、「当事務所は管理費削減専門!実績業界ナンバーワン!」と宣伝しているマンション管理士事務所Bのホームページを見つけたとしたら、おそらく、Bマンション管理士事務所を選ぶ方が多いでしょう。

なぜなら、このマンション管理組合の理事長は「マンション管理士資格のある人」を探しているのではなく、「管理費削減のプロ」を探しているからです。そもそも、管理費削減は、マンション管理士に頼まなくても、理事会など自分たちできないことはありません。

それでも、面倒な仕事を避け、スムーズに、管理会社とのトラブルや居住者間のいざこざを避けるために、マンション管理士事務所に仕事を依頼しようとしているわけです。ですから、Bマンション管理士事務所の方が、そうした理事長のニーズに訴求しやすいのです。

もし、このマンション管理組合の理事長が、それでもAマンション管理士事務所を選ぶとすれば、それは「Aマンション管理士の料金が破格に安い」「Aマンション管理士と、個人的な知り合いである」などの、付随的な理由のためでしょう。

しかしながら、どの業界でも個人的なつながりで仕事を受託するのは最も効率的な方法ではありますが、マンション管理士に限っては、マンション管理組合という組織を顧客にするため、理事長とマンション管理士の個人的な付き合いといった部分はむしろ、他の理事からすればマイナス要素であって、理事長と知り合いであるという理由で仕事を受託するケースはそれほど多くはないでしょう。

また、専門特化すればするほど、業務に関する実績や勉強は積み重ねやすくなります。あれもこれもと数多い分野を扱っていると、どうしてもマンション管理関連の法改正や制度の変化についていけなくなりがちです。

しかし、専門分野に特化してしまえば、そのマンション管理士が最低限網羅すべき分野が限られるため、業務関連の経験や実績を蓄えていくことができます。

事務所のサービスを専門分野に特化するデメリット

次に、マンション管理士事務所を開業する際に、専門分野に特化することのデメリットについて、考えてみましょう。

まず、専門特化すればするほど、見込み客(マンション管理組合)は限定されていきます。例えば、管理費削減に特化した場合、見込み客は、当然ながら管理費が高いことに不満を持っているマンション管理組合に限られます。

管理費削減に特化しないでマンション管理士事務所を開業した場合には、確率は低くても「大規模修繕工事のコンサル」「管理会社のリプレイス」といった比較的利益率の高い業務を受託できる可能性もあります。

見込み客数(マンション管理組合)が多ければ、特にマンション管理士事務所を開業して間もないうちは、業務を受託しやすいでしょう。

ただし、専門特化したマンション管理士事務所の場合は、好景気不景気の影響や、流行に比較的受けやすいのが難点です。

マンション管理士事務所の仕事は、景気に左右されにくいマンション管理組合を顧客にするので不況の影響を受けにくいですが、それでも全く影響がないわけではありません。

景気の良いときには、管理費が高いということに目が向かないものです。また、ここでいう流行とは、例えば耐震偽造事件が大きく取り上げられた時期には、技術系のサービスを提供しているマンション管理士事務所の業務が増えました。

また、個人情報保護の大切さが認識されると、それでは、管理規約に個人情報保護の条文を追加しようといった管理規約改正サービスの需要が増加します。

ですから、あまり専門分野に特化しすぎると、その分野の動向によっては、その業務の需要が減少し、十分な業務をマンション管理組合から受託することができなくなる懸念があります。

まとめ・マンション管理士事務所のサービスは得意分野に特化すべきか

例えば、「うちのマンション管理士事務所は管理費削減以外の業務は一切しません!」という事務所の場合、今後、社会情勢の変化や大手の管理費減額コンサルティング会社の台頭などで、マンション管理組合からの依頼が激減する可能性があることも、考えておかなければなりません。

こうしたリスクも考えると、対外的には「管理費削減」などの専門分野に特化したマンション管理士事務所として営業するとしても、「無料相談」などを通じて、他の分野の業務も少しずつ受託するようにして、実績や経験をつけておいた方が、マンション管理士事務所の経営面では安全で確実な方法だと言えるでしょう。

マンション管理士独立開業で食べられるようになるまでのアレコレ

マンション管理組合の問題やトラブルの解決、理事会の運営のサポートが必要ならマンション管理士事務所が頼りになる存在です。マンション管理士は、マンション管理組合の味方となるコンサルタントです。