管理会社と管理組合の契約書をチェック

マンションの共用部分や敷地などの管理は管理組合の業務ですが、実際には管理を専門に行うマンション管理会社に業務を委託しています。管理組合と管理会社は「管理委託契約」という契約を結び、そこで定められている内容に基づいて、管理組合が本来行うべき管理業務を管理会社に委託しています。

平成25年度マンション総合調査によると、全ての業務をおこなっている管理組合は6.3%と自主管理マンションは少数派で、実際には、ほとんどの分譲マンションで何らかのかたちで、管理会社に業務を委託しています。

ほとんどの委託契約書はマンション標準管理委託契約書をベースにしている

実務上、管理委託契約書は管理会社が用意することが多いのですが、多くの管理会社では「標準管理委託契約書」をベースとして、その上で、一部修正を加えて契約書を作成するのが一般的です。

マンション標準管理委託契約書

国土交通省がマンションの管理委託契約に関する雛形として「マンション標準管理委託契約書」を公表しています。実際に、ほとんどのマンションで標準管理委託契約書に基づいた契約書が採用されていおり、仮に標準管理委託契約書の内容と大幅に異なる契約書を締結している場合には、どういった意図があるのか管理会社に確認する必要があるでしょう。

委託契約書がマンション標準管理委託契約書と比較して管理組合にとって不利な内容になっていないか確認しよう!

<特に注意すべき3箇所の記載事項>

1.契約書の更新に関する記載

ケース1:「更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、自動更新される」旨が定められていた。

【マンション標準管理委託契約書】第21条(契約の更新)
甲又は乙は、本契約を更新しようとする場合、本契約の有効期間が満了する日の三月前までに、その相手方に対し、書面をもって、その旨を申し出るものとする。
2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのう見込みがないときは、甲及び乙は、本契約と同一の条件で、期間を定めて暫定契約を締結することができる。

2.契約書の解除に関する記載

ケース2:「甲及び乙は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。」この文言が削除されていた。

【マンション標準管理委託契約書】第18条(契約の解除)
甲及び乙は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。この場合、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求することができる。
2 甲は、乙が次の各号のいずれかに該当するときは、本契約を解除することができる。
一 乙が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社更生、民事再生の申立てをしたとき、又は乙が破産、会社更生、民事再生の申立てを受けたとき
二 乙が合併又は破産以外の事由により解散したとき
三 乙がマンション管理業の登録の取消しの処分を受けたとき

【マンション標準管理委託契約書】第19条(解約の申入れ)
前条の規定にかかわらず、甲及び乙は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。

3.緊急時の対応に関する記載

ケース3:第8条(緊急時の業務)の記載がない。記載がないと、緊急時に管理会社は管理組合の承認を受けることができなかったという理由で緊急対応を行わない可能性があります。

【マンション標準管理委託契約書】第8条(緊急時の業務)
乙は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪等
2 甲は、乙が前項の業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用については、速やかに、乙に支払わなければならない。ただし、乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない。