マンション管理に最低限必要な基礎知識

マンションの理事のしごとは、多岐にわたります。居住者からのクレーム対応や突然の設備の故障など。でも、それほど心配することはありません。管理会社に業務を委託しているマンションであれば管理会社の担当者(フロント)がサポートしてくれますし、日常的なことは、管理人さんが心強い味方です。そして、いざとなれば外部の専門家の助けを求めることだってできるのですから。

マンション管理業務の基本

  • 【ソフト面】マンション内でのトラブルの解決や未然防止
    マンション内でルールが守られなかったり、ルールに不足があるなどして、トラブルが発生することがあります。例えば、ペットの飼育や騒音の問題が発生しないように規約や使用細則などでルールをつくると共に、マンションの住人にルールを守るように啓蒙をおこないます。
  • 【ハード面】マンション建物の維持管理をおこなう
    マンション内の清掃や点検、設備などの修理の他、定期的におこなう大規模修繕工事の際には、必要に応じて、大規模修繕委員会を立ち上げ、専門業者と協力して、マンションの維持管理をおこないます。
  • 【お金の管理】マンション運営に大切なお金をまもる
    マンション管理に必要不可欠なお金は、区分所有者全員から、管理費や修繕積立金として、毎月集めます。そこから必要な諸費用を支払いますが、その大切なお金を安全で確実に管理します。また、定期的に実施する大規模修繕工事に備え、長期修繕計画(長計)をつくり、その計画に基づいて修繕積立金の額を設定し徴収します。

専有部分と共用部分を理解することが大切

一戸建てとは違い、分譲マンションは、マンション内の複数の住戸に所有権が認められています。このような所有権の仕組みを「区分所有権」といい、区分所有権を持っている人を「区分所有者」と呼んでいます。分譲マンションを購入すると、住戸(専有部分)を目的とする「区分所有権」と、その敷地である「敷地利用権」を同時に取得することになります。一方で、共用廊下、エレベーター、建物の基礎、壁などは区分所有者全員の共有となります。

  1. 【専有部分】・・・各住戸
  2. 【共用部分】・・・共用廊下、エレベーター、建物の基礎、壁など

以上のように、マンションは、専有部分と共用部分の2つの部位に分かれているのが特徴です。

トラブルは「専有部」「共用部」の境界部分で起こる

マンション管理でトラブルの要因として、「専有部分」と「共用部分」の区分けが難しいことがあげられます。エアコンを設置するときに、外壁に穴を開けられない理由は、その壁が共用部分だからと理解するのは比較的簡単でしょう。一方で、部屋の床下で漏水事故が起きたときの復旧のための費用負担は、お部屋の持ち主である区分所有者なのか、それとも管理組合で負担すべきものなのかは、判断がむずかしいでしょう。

もちろん専有部分だからといって、区分所有者がなんでも好きなようにできるわけではありません。例えば夜中にピアノの練習をすることは、マンションの管理規約等で許されていないはずです。マンションでのトラブルの根本には、専有部分と共用部分の区分けが難しいということと、専有部分だからといって、なんでも自由にできるわけではないということを、一部の居住者が理解できていないことがあげられます。

トラブルを未然に防ぐためには、管理規約に責任の区分けを記載

区分所有法では、「専有部分」と「共用部分」の境を明確に定めているわけではありません。ですから「管理規約」や「使用細則」に構造上の「共用部分」「専有部分」等の区分けをはっきりと記載することが必要となります。この「共用部分」と「専有部分」の区分けはマンションの構造などにもかかわることですので、簡単にはできません。

仮に管理規約に明確に記載されていない場合には、管理会社やマンション管理士と協力して、早急に管理規約の見直しをおこないましょう。

マンションの管理規約と区分所有法という法律

規約はルールブック

マンションの基本的ルールは、マンションの憲法といわれる区分所有法に定められています。しかし、区分所有法だけで、マンション各々の事情などを配慮して、一律に定めることは困難です。そこで、区分所有法では、マンションが個別に独自のルールを定めることができるとしています。これを管理規約や使用細則と呼んでいます。

マンションの管理規約は、マンションの所有者(区分所有者)だけではなく、賃貸で暮らす方を含めた、分譲マンションに生活するすべての者が守るべきルールブックです。当然ながら、所有者だけではなく、同居している家族や、賃借人も、このルールブックである管理規約等を理解し、共用部分や専有部分の利用方法を守る義務があります。

自分のマンションの管理規約を読んだことがないという方は多くいますが、マンションに暮らす以上、必ず読んでおく必要があります。もし、管理規約を持っていないという方がいたら、管理会社等に問い合わせをして入手しましょう。

管理会社任せにしてはいけない

マンションを購入すると自動的に管理組合員になります。自治会などとは違って、嫌だからといって自由に退会することはできません。マンションを購入したけれど、理事をやりたくないから管理組合には入りたくない!なんてことはできません。また、そのマンションに住んでいるは関係ありません。マンションを購入した時点で自動で管理組合員になり、マンションを売却、相続するなどして、マンションのお部屋を手放した時点で、管理組合から自動的に退会となります。

マンションの管理組合は、区分所有者全員が当然メンバーとなり、共同でマンションの維持管理を行うための組織です。マンションの維持管理は、この管理組合で行わなければなりません。しかしながら、実際には、管理の実務を管理会社に任せていることもあって、ほとんどの区分所有者は、自分達がマンション管理をおこなっているという自覚が残念ながらありません。マンションを維持管理する上で、最も大切なことは、自分たちが管理の主体であるという意識をもつことです。

例えば、総会を開催するのも、多くの場合、管理会社が総会資料をつくり、配布までおこなっています。それは、あくまでも忙しい理事の仕事を管理会社が代行しているのであって、少なくとも管理会社がつくった総会議案書(案)の内容をしっかりと確認して意見するぐらいは、理事が当然おこなうべきことです。

重要なことは、総会の決議でおこなうことが基本

分譲マンションでは、マンションの運営に関する重要な事項は、総会の決議によって決められます。総会は、区分所有者全員が議決権を持ち、多数決で管理組合の意思決定をする場です。マンションの憲法である区分所有法では、「集会(総会)を、管理組合の中心的、かつ、最高の意思決定機関」として位置付けています。

しかし、残念なことに多くのマンションでは、総会の出席率が低いのが実情です。マンションの運営は、できるだけ多くの区分所有者の意見を聞き、そして、その意見を反映することにより成り立ちます。そのためには、総会の出席率を少しでもあげるための努力が必要です。日程に余裕をもった、総会資料の配布や、掲示板を活用するなどして、総会の出席率を少しでも高めるための工夫をして、できだけ多くの方に総会に参加していただき、意向を引き出すことが重要です。

トラブルを避けるために必ず読んでおこう「管理委託契約書」

管理組合とマンション管理会社とのトラブルで多く見られるケースに、この管理委託契約の履行に関する問題があります。管理会社が契約に定められた内容をきちんと履行していない!(これを民法では「債務不履行」といいます)という問題です。
責任の所在を明確にするには、管理組合と管理会社の双方が契約の内容(つまり管理委託契約書に記載されている内容)について、きちんと理解していることが全ての前提となります。

管理組合の側では当然管理会社の仕事と思い込んでいる業務の内容が、実は契約の範囲外(つまり管理委託契約書に記載されていない)ということが往々にしてあります。こういった誤解を避けるためにも、管理組合の側ではキチンと契約書に記載されている内容を読み込むことが大切ですし、管理会社の側でも予め契約更新の機会などを通じて、丁寧に契約内容について説明を行うことが重要です。